ティーグルブラン Tigres blancs

福島県会津若松市の弁理士(特許事務所)がお届けする大人向けSF絵本です。


エピソード4「超能力結社プサイ」


憶測の中には、「異星人が飛来して、地球人と何かの約束をした」という説もあった。
約束の書の内容が明らかになれば、古代史が塗り替えられる可能性が出てきた。
超能力結社「プサイ」では、幹部会が開かれた。
プサイは、予言者ニコが書き残した「天運記述」を最高権威として、陰から世界を支配していた。

Mr. X:「なにやら、世間が騒がしくなってきたな。」
Mr. Y:「約束の書をめぐって、多くのマスコミがかぎまわっています。」
Mr. Z:「大丈夫だ。プサイが揺らぐことはない。安心しろ。」
マスコミの関心は、約束の書によって天運記述の地位がくつがえるのではないか、ということだった。

Mr. X:「唯一の世界を守るため、我々はあらゆる手段が許された。世界の政治、経済、そして軍事、すべては、我々の手中にある。この先も、それは変わらない。」
Mr. Yは、うなずく。
Mr. Z:「彼らは、約束の書を解読できないだろう。よし、約束の書を徹底的に否定しろ!天運記述に比べれば、とるに足りないものだと。」

プサイは、談話を発表した。
「今回、研究員チームによって『約束の書』なるものが発見されたことを歓迎する。約束の書は、予言者ニコを裏切った弟子が自らの地位を誇示するために、架空の言語で天運記述をまねしたものであろう。約束の書は、オリジナルではなく、天空記述の二次文書であることが明らかになり、天空記述の権威がより高まることを期待する。」
マスコミは、プサイが主張する二次文書説に沿った報道を行った。

その頃、ジョーは、約束の書の紙に含まれる物質を検査して、約束の書が作られた年代を特定しようとしていた。報告書が届く。
カクマ:「どうだった、ジョー。せめて成立時期が明らかになれば、二次文書説を否定できるんだが。」
ジョー:「残念ながら、年代不明だ。神殿の特殊な環境のため、物質の経時変化を推定できない、そうだ。」

ジョー:「科学的には成立時期を証明できない。あとは、内容的に検証するしかないな。」
カクマ:「ジョー、大丈夫だろうか。約束の書は、このまま闇に葬られるのではないか。」
ジョー:「カクマ、あわてるな。木々教授が良い報告を持ってきてくれるに違いない。それを、楽しみに待とうじゃないか。」

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