ティーグルブラン Tigres blancs

福島県会津若松市の弁理士(特許事務所)がお届けする大人向けSF絵本です。


エピソード3「約束の書」


石箱を開けると、中には古文書が収められていた。
ジョーは、古文書研究の権威である木々教授にこの文書の解読を依頼する。

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木々教授:「胸が躍る。是非協力させてもらいたい。」
ジョー:「私達も全く見たことがない文字で書かれています。よろしくお願いします。」
木々教授は、コンピュータによる解析を行った。

第1回の報告会が開催される。
ジョー:「先生、どうでしたか。」
木々教授:「なかなか難しい、解明が進まない。」
ジョー:「やはり、特殊な言語なのでしょうか。」

木々教授:「通常の言語には、信頼や協力など正の感情に加えて、憎しみや裏切りなどの負の感情が表れる。極端には、光と闇の感情と言ってもよい。」
ジョー:(無言)
木々教授:「私は、これら両方の感情の対比を手掛かりとして、意味を解く。しかし、この文書には、負の感情らしきものが見当たらない。」
ジョー:「つまり、手掛かりがないということですか。」
木々教授:「本来の人間は両方の感情を持つはずだ。この筆者は、素の人間が持つ心情を超越しているようだ。」

木々教授:「ただ、箱に書かれた文字だけは、正の感情から解析できた。」
ジョー:「なんと書かれていたのですか?!」
木々教授:「『約束』と記されているようだ。」
ジョー:「や、約束。」
参加者:(ざわざわ)
カクマ:「何か前向きな約束をした、ということですか。」

木々教授:「そのようだ。しかし残念ながら、今言えるのはそこまでだ。この後も解析を続ける。詳しいことがわかれば、次回報告する。」
この報告内容は、マスコミで「約束の書」として報道され、社会の大きな注目を浴びた。

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